【自作戦記】『東部戦線』第2部『バルバロッサ作戦』~嵐の前の静けさ(1)~

ドイツ軍がこの森に集結してから、もうすぐ2日目になろうとしていた。
1941年6月21日夜、今はソヴィエト領であるブレストの郊外、プラトゥリンの森で、ドイツ陸軍中央軍集団の将兵達が、来たるべき独ソ戦に備え待機していた。
そう・・・1年9ヶ月前、ポーランド軍との戦いが繰り広げられた、あのブレスト・リトフスク要塞の西側の森である。
糧食班より支給された遅い夕食のスープをすすりながら、ディートリヒ・レーダー軍曹が愛する恋人、ベルンハルデ・アルニムに宛てて手紙を書いていた。

「愛するベルダ。俺は今、ドイツとソビエトの国境沿い、ブレストにいる。かつてはポーランドだった所だ。しばらくは本国には帰れないだろう。でも俺は絶対に死なない。必ず生きて本国に帰る。だからそれまでずっと待っててくれ・・・必ず帰るから。手紙、また出すよ・・・」

そして手紙に封をした。
レーダーはポーランド戦役後、野戦砲兵から突撃砲兵へと転身し、ユーターボクの突撃砲学校を出たのちフランス戦役に参戦。
その後軍曹に昇進し、III号突撃砲の車長となっていた。

レーダー「さぁお前ら、書き終わったか?俺は書き終わったぞ。」

フレイ「ちょっ、ちょっと待ってください。もうすぐ書き終わりますから。」

レーダー「シェーファー、奥さんと子供とは、しばらくは会えなくなるな。」

そう言って、レーダーはシェーファー一等兵に話しかけた。

車長のレーダー、砲手のヴィック伍長、操縦手のフレイ伍長、装填手のシェーファー一等兵・・・
この4人の中ではシェーファーが一番階級が下だが、年は一番年上で、この4人の中で唯一の妻子持ちだった。

シェーファー:「ええ、寂しいです。でも軍曹も恋人と会えなくなる訳だし、それは皆同じですから・・・」

フレイ:「唯一、ヴィックだけは恋人もいないけどな。」

ヴィック:「おめぇ、うるせぇよ!フレイ、おめぇを恋人にしてやってもいいんだぜ。」

そう言って、ヴィックはフレイに抱きついた。

フレイ:「バカ!俺にそんな趣味は無ぇよ!」

レーダー:「ハハハッ、お前ら中隊長にバレねぇようにやれよ。中隊長はそういうのが大っ嫌いだからな。」

フレイ:「だから・・・そんな趣味無いですってば!」

レーダー:「さぁ坊や達、そろそろ手紙を書き終えたかな?早く書かないと置いてっちまうぞ。」

そう言ってレーダーは3人から手紙を集めて、中隊本部へと持って行った。

「それにしても、皆開戦前だというのに明るいな…」と、レーダーは思った。

レーダー:「これからも、この明るさが続いていけばいいのだが・・・」

*************************************************


中隊本部に出向いてみると、ここでも集まった車長達が開戦の話題で持ち切りだった。
これからソヴィエトと戦争をするのか?
それとも噂通り、これはイギリスに対するただの陽動作戦なのか?

先任曹長:「気を付け!」

低い声で先任曹長が号令をかけると、大型の野戦テントの中から中隊長が現れた。

先任曹長:「車長全員、集合しました。」

砲兵中隊長:「休め!」

全員が休めの姿勢を取ると、中隊長は胸のポケットからメモを取りだした。
そして、そのメモに書いてある内容を、全員の前で読み上げた。

砲兵中隊長:「東部戦線の兵士諸君!」

東部戦線?
東部戦線だと!?
初めて耳にするその『東部戦線』という言葉に、車長達は驚き、戦慄した。
それは、今まで戦ってきた西ヨーロッパの地を西部戦線とし、新たに東部にも戦線を築く、という事を意味した。
やはり、ソヴィエトとは戦うのか!

砲兵中隊長:「東部戦線の兵士諸君。我々は遂にソヴィエト連邦と戦う時が来た。ソヴィエト軍は我が国境沿いに160個もの師団を配置しており、我が国を脅かしている。明朝0315、北はバルト海から南は黒海に至る長大な戦線で、同盟国フィンランド軍及びルーマニア軍を含めた我が軍は、史上最大の侵攻作戦を開始する。これも東ヨーロッパの広大な土地をスラヴ人の手から解放し、我がゲルマン民族の生存圏を拡大する為である。今や我がドイツの運命、将来、生存、全ては諸君らの双肩にかかっている。諸君らの健闘を祈る!国防軍最高司令部。以上!」

先任曹長:「気を付け!」

先任曹長が中隊長に対し敬礼をすると、中隊長はまた野戦テントの中に入って行った。

先任曹長:「これから状況を説明する。各小隊長と各戦車長は天幕に入れ!」

遂に来たか、とレーダーは思った。
恐らく今度は、ポーランドやフランスの時とは違うだろう・・・
レーダーには、何となくそんな気がしてならなかった。

*************************************************


レーダー:「明朝0315、侵攻開始だ・・・」

自分の車輌に帰るなり、レーダーは部下達に告げた。
部下達は、やはり・・・という顔をした。
しかし、決して彼らは恐れてはいない。
レーダーが突撃砲兵になって以来、ユーターボクの突撃砲学校から、ずっと共に訓練を重ねてきた仲間達なのだ。
装填手のシェーファー一等兵は初の実戦参加だが、砲手のヴィック伍長と操縦手のフレイ伍長は、レーダーと同じくポーランドで実戦を経験済みだ。
覚悟を決めた彼らは、レーダーにとってとても頼もしく思えた。

シェーファー:「どれくらいかかりますかね?」

レーダー:「冬季装備は置いてきちまったからな。なぁに、秋までの辛抱だ。4ヶ月もあればカタが付くさ!」

そうは言ってみたものの、それを保証する物は何もなかった・・・
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皆様、こんにちは^^
いよいよこの自作戦記『東部戦線』も、第2部を迎える事が出来ました^^
これもひとえに、当ブログをご愛読いただいております、皆様のおかげです^^
本当に、ありがとうございます^^
ちなみに今回の最高司令部訓示の一幕ですが、文言はパウル・カレル著『バルバロッサ作戦』を参考に、させて頂きました^^

テーマ : 自作歴史連載小説
ジャンル : 小説・文学

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ついに第二部が始まりましたね、
おめでとうございます♪
ついに独ソ戦が始まりますが、
フョードラともいずれ戦う事になったり?
戦争だから仕方ないとはいえ、
彼らがどんな戦場に赴くのか気になりますね。

一般の兵士にとっては辛いことが多いですね。
ソ連との戦争。
新たなる戦乱。
地獄が続いてまた地獄。
戦争はしたくないもんですなあ。。。
( ̄д ̄)

>>ツバサ様

こんばんは^^
祝辞、ありがとうございます^^
これもツバサさんはじめ、読んで下さるブロ友さんあっての賜物です^^
これからも、宜しく御願い致します^^


フョードラとも、いつかは戦う事に、なるんでしょうねぇ・・・
どんな形で接触させるかは、まだ決まっていないのですが・・・^^;

>>LandM様

こんばんは^^
本当に戦争は、一般の兵士にとっては、辛い事ばかりですよねぇ・・・
ただ、この地獄絵図を、戦争を体験していない自分が果たして描けるのか?
・・・と言うのが、これからの課題ですね^^;
経験も無ければ文才も無いので、まぁどこまで描けるのか、自分でも疑問ではあります・・・
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