【自作戦記】『東部戦線』第1部『ポーランド電撃戦』~『ファル・ヴァイス(白の件)』作戦発動!(2)~

1939年9月1日午前4時45分、ドイツ軍は遂にポーランド領内に侵攻を開始した。
西の空から、多くのドイツ空軍機が飛来しては東の空へと消えていき、野戦電話はけたたましくジリジリと鳴り続ける。

マウラー:「全員、配置に着け!」

班長のマウラー軍曹が、野戦電話の受話器を左手に持ち、レーダー達に射撃指揮班から流れてくる射撃諸元を伝える。

マウラー:「信管時限、秒時18.2、装薬5、方向2638、射角342!」

マウラーの射撃号令を復唱しながら、レーダー達は各々の仕事を遂行した。
まず照準手のレーダーは、照準眼鏡の目盛を2638にセットし、照準眼鏡を覗きながら旋回ハンドルを回し、眼鏡の中心線を、50mと100mの直線上に立てたポールに合わせる。
同時に射撃手のトラウペルは、水平儀の目盛を342にセットして、俯仰ハンドルを回す。
信管手のブッセは弾頭に信管を装着して信管秒時をセットし、装填手のフーバーは砲弾を火砲に装填して、閉鎖器を閉める。

「カシャンッ!」

砲弾の装填時の重みと衝撃によって微妙にずれた火砲の向きをさらに微調整すると、レーダーはマウラーに「準備よし!」と伝えた。
マウラーが「よぉーい!」と叫びながら右手を上げ、トラウペルは引き金に繋がったロープを持って構える。

マウラー:「撃てっ!」

マウラーが号令ととも上げていた右手を振り下ろすと、トラウペルが引き金に繋がったロープを引いた。

「ダンッ!」という大きな音とともに、砲弾が砲口から飛び出した!

砲弾は「キュ~ン!」と風を切る音を立てながら、雲の中にすぅっと消えていった。

トラウペルが「カシャンッ!」と閉鎖器を開けると、装薬が入っていた薬筒が「カラ~ンッ!」とよく響く金属音を立てて、閉鎖器から抜け落ちる。
やがて遠くの方で「ダァァ~ン!」という音が聞こえてきた。
レーダー達の撃った砲弾が炸裂したのだ。
何を撃っているのか、レーダー達にはわからない。
敵の対戦車砲陣地かもしれないし、機関銃座かもしれない、あるいはトーチカ(コンクリートで装甲された、防御用の建造物)かもしれない。
それを知っているのは、直接敵を見てレーダー達の撃っている弾を観測している前進観測班と、その情報を受け取って射撃号令を下す射撃指揮班、そしてその指揮班から号令を受けた、砲班長のマウラー軍曹だけだ。
戦砲隊は最前線から何kmも後方に離れていて、レーダー達には目標は見えないのだ。
これを「間接照準射撃」と言う。
それに対して、戦車や対戦車砲のように照準眼鏡の照準線を直接目標に合わせて撃つ方法を、「直接照準射撃」と言う。
しばらくして、再び射撃指揮班から射撃諸元が流れて来た。

マウラー:「方向2642、射角340!」

マウラーの号令の下、レーダー達は黙々と自分の仕事を続ける。

レーダー:「準備よし!」

マウラー:「よぉーい!・・・撃てっ!」

「ダンッ!」、マウラーの号令で、2発目の砲弾が発射された。
少し間を置いて、3度目の射撃諸元が流れてくる。

マウラー:「方向2640、射角341!」

レーダー:「準備よし!」

マウラー:「よぉーい!・・・撃てっ!」

それから20分程撃ち続けると、戦砲隊長がホイッスルを吹き、「撃ち方やめぇ!」と号令をかけた。
レーダー達砲兵隊は、どうやら目標の敵を制圧したようだ・・・
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今回も読んで頂き、ありがとうございます^^
実は自分は、陸上自衛隊の野戦特科出身です^^
なので今回のレーダーたち野戦砲兵のセリフは、実際に野戦特科で使われていた射撃号令を基に、セリフを書いてみました^^
まぁ実際にドイツ陸軍がこういう様式を使っていたのかはわかりませんし、陸上自衛隊が使っていた105mm榴弾砲『M2A1』とドイツ陸軍が使っていた105mm榴弾砲『leFH18』の砲弾の構造自体、似ていたのかどうかもわかりませんが^^;
でもまぁ、当時はCVT信管はさすがに無かったとは思うけど、機械式の時限信管ぐらいは付いてたんじゃないかなぁ?
[ 2009/09/29 18:00 ] 自作戦記:東部戦線第1部 | TB(-) | CM(2)

とうとうドイツ軍のポーランド侵攻が始まりましたね。
男の骨太な戦闘というか、やはり元自衛官というだけあって
銃撃場面は臨場感がありますね。
今のところ自分は比較的ツッコミが少なそうなチャンバラくらいしか
描いたことありませんが、自分がそういったものを描く機会があったら、
考証というかご教示頂けると嬉しいです。
[ 2017/04/18 04:13 ] [ 編集 ]

>>ponch様

こんばんは、ありがとうございます^^
遂に、ポーランド侵攻が始まりました@@
自作戦記は正直、ここまでは良かったのですが・・・
次の戦車兵やら飛行兵やら看護婦やらが登場した途端に、内容の薄い物になってきた気がします・・・^^;
やはり、専門外の事を描くには、かなりの勉強が要りますね^^;
かと言って、野戦砲兵だけで終戦まで引っ張るのも、かなりキツいし・・・

おぉ!
ponchさんは、チャンバラを描いた事があるんですね^^
チャンバラもまた、臨場感や緊張感を出すのは、難しそうですね^^;
ponchさんも第二次大戦物を描くとしたら、自分も出来る限りの協力を致したいと思います^^
[ 2017/04/18 18:01 ] [ 編集 ]

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