【自作戦記】『東部戦線』第2部『バルバロッサ作戦』~嵐の前の静けさ(1)~

ドイツ軍がこの森に集結してから、もうすぐ2日目になろうとしていた。
1941年6月21日夜、今はソヴィエト領であるブレストの郊外、プラトゥリンの森で、ドイツ陸軍中央軍集団の将兵達が、来たるべき独ソ戦に備え待機していた。
そう・・・1年9ヶ月前、ポーランド軍との戦いが繰り広げられた、あのブレスト・リトフスク要塞の西側の森である。
糧食班より支給された遅い夕食のスープをすすりながら、戦車兵達はこれから起こる事を不安げに囁きあった。

ルドルファー「俺達は、本当にソヴィエトと戦争をするのか?」

シェラー「そんな筈はない。ドイツとソヴィエトとの間には、独ソ不可侵条約が結ばれてるんだ。知ってるだろ!」

そんな部下達のひそひそ話を聞きながら、ヒューゴ・ヴァルター軍曹は1年9ヶ月前にこの地で知り合った、ソヴィエト軍の女性兵士の事を思い出していた。

ヴァルター「フョードラ・・・この国境線の向こうに、君はいるのか?俺は本当に、君と戦わなくてはならないのか?」

ヴァルターはこの1年9ヶ月の間、時々あのソヴィエト軍の女性飛行兵、フョードラ・シュパーギナの事を思い出しては、葛藤に悩まされてきた。
俺は異国の女に恋をしているのか?
いや、違う!
たった一度、逢ったきりではないか!
もちろん彼女の写真などは持っていない。
黒髪のどこか東洋人っぽい風貌をした女性、という以外はどんな顔をしていたのかすらも、もうハッキリと覚えてはいなかった。
それだけに、より一層彼女の美しい部分だけが美化されて思い出されているように思えた。

レーゼ「ヴァルター軍曹、各車長は2200、中隊本部に集合だそうです」

通信手のレーゼ一等兵が、低い声でヴァルターに要件を伝えた。
ヴァルターはレーゼに「了解」とだけ言った。

ヴァルター「ルドルファー、シェラー、俺は中隊本部に行ってくる。」

そう言ってヴァルターは、中隊本部へと出向いて行った・・・

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中隊本部に出向いてみると、ここでも集まった車長達が同じ話題で持ち切りだった。
これからソヴィエトと戦争をするのか?
それとも噂通り、これはイギリスに対するただの陽動作戦なのか?

先任曹長「気を付け!」

低い声で先任曹長が号令をかけると、大型の野戦テントの中から中隊長が現れた。

先任曹長「車長全員、集合しました。」

中隊長「休め!」

全員が休めの姿勢を取ると、中隊長は胸のポケットからメモを取りだした。
そして、そのメモに書いてある内容を、全員の前で読み上げた。

中隊長「東部戦線の兵士諸君!」

東部戦線?
東部戦線だと!?
初めて耳にするその『東部戦線』という言葉に、車長達は驚き、戦慄した。
それは、今まで戦ってきた西ヨーロッパの地を西部戦線とし、新たに東部にも戦線を築く、という事を意味した。
やはり、ソヴィエトとは戦うのか!

中隊長「東部戦線の兵士諸君。我々は遂にソヴィエト連邦と戦う時が来た。ソヴィエト軍は我が国境沿いに160個もの師団を配置しており、我が国を脅かしている。明朝0315、北はバルト海から南は黒海に至る長大な戦線で、同盟国フィンランド軍及びルーマニア軍を含めた我が軍は、史上最大の侵攻作戦を開始する。これも東ヨーロッパの広大な土地をスラヴ人の手から解放し、我がゲルマン民族の生存圏を拡大する為である。今や我がドイツの運命、将来、生存、全ては諸君らの双肩にかかっている。諸君らの健闘を祈る!国防軍最高司令部。以上!」

先任曹長「気を付け!」

先任曹長が中隊長に対し敬礼をすると、中隊長はまた野戦テントの中に入って行った。

先任曹長「これから状況を説明する。各小隊長と各戦車長は天幕に入れ!」

遂に来たか、とヴァルターは思った。
恐らく今度は、ポーランドやフランスの時とは違うだろう・・・
ヴァルターには、何となくそんな気がしてならなかった。

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ヴァルター「明朝0315、侵攻開始だ・・・」

自分の戦車に帰るなり、ヴァルターは部下達に告げた。
部下達は、やはり・・・という顔をした。
しかし、決して彼らは恐れてはいない。
ヴァルターが車長になって以来、ずっと共に訓練を重ねてきた仲間達なのだ。
装填手のカビッシュ一等兵と通信手のレーゼ一等兵は初の実戦参加だが、砲手のルドルファー伍長と操縦手のシェラー伍長は、ヴァルターと同じくポーランドで実戦を経験済みだ。
特にルドルファー伍長とは、ポーランド侵攻以来の長い付き合いだ。
覚悟を決めた彼らは、ヴァルターにとってとても頼もしく思えた。

ルドルファー「今度はどれくらいかかりますかね?」

ヴァルター「冬季装備は置いてきちまったからな。なぁに、秋までの辛抱だ。4ヶ月もあればカタが付くさ!」

そうは言ってみたものの、それを保証する物は何もなかった・・・
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皆様、こんにちは^^
いよいよこの自作戦記『東部戦線』も、第2部を迎える事が出来ました^^
これもひとえに、当ブログをご愛読いただいております、皆様のおかげです^^
本当に、ありがとうございます^^
ちなみに今回の最高司令部訓示の一幕ですが、文言はパウル・カレル著『バルバロッサ作戦』を参考に、させて頂きました^^
[ 2017/08/31 16:00 ] 自作戦記:東部戦線第2部 | TB(-) | CM(4)

ついに第二部が始まりましたね、
おめでとうございます♪
ついに独ソ戦が始まりますが、
フョードラともいずれ戦う事になったり?
戦争だから仕方ないとはいえ、
彼らがどんな戦場に赴くのか気になりますね。
[ 2017/08/31 22:04 ] [ 編集 ]

一般の兵士にとっては辛いことが多いですね。
ソ連との戦争。
新たなる戦乱。
地獄が続いてまた地獄。
戦争はしたくないもんですなあ。。。
( ̄д ̄)
[ 2017/09/01 19:53 ] [ 編集 ]

>>ツバサ様

こんばんは^^
祝辞、ありがとうございます^^
これもツバサさんはじめ、読んで下さるブロ友さんあっての賜物です^^
これからも、宜しく御願い致します^^


フョードラとも、いつかは戦う事に、なるんでしょうねぇ・・・
どんな形で接触させるかは、まだ決まっていないのですが・・・^^;
[ 2017/09/01 20:10 ] [ 編集 ]

>>LandM様

こんばんは^^
本当に戦争は、一般の兵士にとっては、辛い事ばかりですよねぇ・・・
ただ、この地獄絵図を、戦争を体験していない自分が果たして描けるのか?
・・・と言うのが、これからの課題ですね^^;
経験も無ければ文才も無いので、まぁどこまで描けるのか、自分でも疑問ではあります・・・
[ 2017/09/01 20:17 ] [ 編集 ]

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