【自作戦記】『東部戦線』第1部『ポーランド電撃戦』~それぞれの道(3)~

11月も中旬になり、いよいよ晩秋も終わり始める頃、レーダーが退院する日がやって来た。
病院の玄関には、ドイツ赤十字の主治医と担当看護婦のベルンハルデが、見送りに出ていた。

レーダー:「先生、いろいろとお世話になりました。ベルンハルデさんも、いろいろとありがとう。」

主治医:「何やら今度は、新兵器の学校へと向かうそうですね。勉強、頑張ってくださいね。」

レーダー:「俺、ホントは勉強って苦手なんですけどね。まぁ、頑張ります。」

主治医:「そうそう、頑張ってください。レーダー伍長はお国を守る軍人さんなんですから。」

レーダー:「たはっ、参ったな・・・。先生、せっかくお見送りに出ていただいてて失礼なんですが・・・ちょっとベルンハルデさんとお話があるんですが・・・」

レーダーが恥ずかしげにそう言うと、主治医は特に機嫌を悪くした風でも無く、こう答えた。

主治医:「おぉ、そうかね。では、私は元の職務に戻るとしよう・・・。元気でな、レーダー伍長。死ぬんじゃないよ。」

レーダー:「はい、先生。ありがとうございました。」

そう言ってレーダーが敬礼をすると、主治医はニコリと笑って院内へと入って行った。
するとレーダーは、ベルンハルデと向き合って言った。

レーダー:「ベルンハルデさん、いろいろとありがとうございました。」

ベルンハルデ:「いいえ。レーダーさん、よく頑張りましたね。リハビリもよく頑張りました。」

レーダー:「いやぁ、ベルンハルデさんが傍にいてくれたから、頑張れたんだよ。」

ベルンハルデ:「レーダーさんが退院すると、なんだか病院が寂しくなりますね・・・レーダーさんとても明るい方で、お友達もよくお見舞いに来てくれてましたから・・・」

ベルンハルデが寂しそうな顔で言うと、レーダーも寂しそうな顔で言った。

レーダー:「俺もだよ、ベルンハルデさん・・・。あの・・・俺は今日退院してしまうわけなんだけど・・その・・・手紙・・・書いてもいいかな?」

ベルンハルデ:「ええ・・・」

ベルンハルデが嬉しそうに応えた。
するとそこへ、外に休憩に出てきたシャルロッテがやってきた。

シャルロッテ:「あ~らお二人さ~ん。随分と仲が良さそうじゃないの~!」

ベルンハルデ:「ちょっと、シャルロッテ、やだ・・・」

レーダー:「シャルロッテさん!そんなんじゃないよ!」

シャルロッテ:「まぁまぁ、隠さない隠さない。ベルンハルデなんかもう、顔が真っ赤じゃない。」

レーダー:「ま、参ったなぁ・・・」

レーダーが頭を掻きながら照れると、シャルロッテは急に真顔になった。

シャルロッテ:「ねぇ、レーダーさん。戦争もこれからどこまで続くのかわからないけど、絶対に死んだらダメよ。ベルンハルデを悲しませたりしたら、私が許さないからね!」

レーダー:「あぁ、約束するよ。シャルロッテさんも、それからベルンハルデさんもお元気で!じゃぁ、行くよ。」

ベルンハルデ:「お元気で、レーダーさん。」

シャルロッテ:「元気でね。」

二人はそう言うと、レーダーに手を振った。
レーダーも二人に向かって敬礼をすると、ユーターボクにある突撃砲学校へと目指して足を進めた。
遠ざかるレーダーの後ろ姿を見つめながら、ベルンハルデとシャルロッテの二人はいつまでも手を振っていた・・・

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1939年11月30日、北ではソヴィエト軍がフィンランドへの侵攻を開始した。
ドイツでは次に来たるべき対フランス戦に備え、着々と軍備を整えつつあった・・・


『東部戦線』第1部『ポーランド電撃戦』


参考文献:
学研歴史群像WWII欧州戦線シリーズVol.1『ポーランド電撃戦』
学研歴史群像WWII欧州戦線シリーズVol.12『ドイツ装甲部隊全史II』
学研歴史群像WWII欧州戦線シリーズVol.15『ソヴィエト赤軍興亡史II』
学研M文庫 山崎雅弘著『ポーランド電撃戦』
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[ 2010/02/02 18:00 ] 自作戦記:東部戦線第1部 | TB(-) | CM(6)