【自作戦記】『東部戦線』第1部『ポーランド電撃戦』~もう一つの出逢い~

独ソ間の協定により定められた勢力境界線に、ソヴィエト軍が次々と辿り着き始めた。
イギリス、フランス両国に見捨てられ、ブレスト・リトフスク要塞の将兵は遂に降伏。
9月22日、ブレストの街では、ドイツ軍のグデーリアン上級大将、ソヴィエト軍のクリヴォシェイン少将を観閲官として、戦勝祝賀パレードが行われた。
独ソ間の協定により、ブレスト・リトフスク要塞はドイツ軍からソヴィエト軍に引き渡された。

その後、あちこちでドイツ兵とソヴィエト兵の親睦会の様な物が行われ、兵士たちは酒を食らった。
兵士達は酒を飲みながら、ソヴィエト兵はカチューシャを踊り、ドイツ兵が手拍子で音頭を取る。
言葉が通じないながらも、両国の兵士達は仲良くやっていた。

ヴァルター:「ちっと、夕暮れの風に当たってくるわ。」

ドイツ兵:「おい、もう酔っ払っちまったのか?弱ぇなぁ・・・」

実はヴァルターは、別に酔っ払ったわけではないのだが、あまりこういった飲み会みたいな物が好きではないのだ。
ヴァルターは、一人河原へと向かった。
思えばポーランドに侵攻してからの二十日間、よく生き延びてこられたものだ。
ヴァルターは神に感謝した。
イギリス、フランスが戦線布告をしてきた以上、おそらく戦争は、これで終わりじゃないだろう。
でもこれで、少なくとも一区切りは付いたと、歩きながらそう思った。
河に来てみると、濃紺のソヴィエト空軍の軍服を着た女性が一人、ポツンと河原に座っていた。
どうせ言葉は通じないし、バツが悪くなったヴァルターは、仕方なく引き返そうとした。

フョードラ:「誰?」

ソヴィエト兵の女が人の気配に気づき、後ろを振り向くとロシア語で言った。

ヴァルター:「あ・・・いや・・・すみません・・・」

ヴァルターは言葉が通じないのも構わず、思わずこう言ってしまった。

フョードラ:「こんばんは。」

フョードラが微笑みながら、今度は流暢なドイツ語で挨拶をすると、ヴァルターは驚いて聞き返した。

ヴァルター:「驚いたな・・・どこでドイツ語を?」

フョードラ:「父がベルリン駐在の特派員だったので、子供の頃、ベルリンに10年程住んでいました。」

ヴァルター:「そうなんだ・・・隣・・・座ってもいいかな?」

ヴァルターは照れながら、フョードラに聞いた。

フョードラ:「どうぞ。」

ヴァルター:「ありがとう。」

そう言ってヴァルターは、フョードラの隣に座った。

ヴァルター:「それにしても、なぜここに?」

フョードラ:「酔っ払った男って、好きじゃないんです。下品だし、すぐに体触ってくるし・・・」

ヴァルター:「俺も同じだな。男って酔っ払うとすぐに説教始まるし。あまり出来のいい方じゃないんでね。」

フョードラ:「あなたも男でしょ。」

ヴァルター:「そりゃそうだけどさ・・・」

ヴァルターが困り顔でそう言うと、フョードラは笑った。

ヴァルター:「兵科は何?通信兵?それとも衛生兵?」

フョードラ:「航空兵よ。」

そう言ってフョードラは、階級章に付いた翼とプロペラが十字に重なったバッジを見せると、ヴァルターは驚いた。

ヴァルター:「航空兵?女性で?」

フョードラ:「ソヴィエトでは、女性も前線の兵なんです。」

ヴァルター:「これは驚いたな!航空兵かぁ・・・俺は装甲兵。そうだ!俺の乗ってる戦車、見てみない?」

フョードラ:「そんな、叱られるわよ!」

ヴァルター:「大丈夫だって。気にしない気にしない。」

いたずらっ子の様な目をしてそう言うと、ヴァルターは立ち上がった。

フョードラ:「ほんと、知らないわよ。」

こうして、ヴァルターはフョードラを連れて、戦車の置いてあるガレージへとやってきた。

ヴァルター:「これが俺の乗ってる戦車、38(t)戦車さ!」

フョードラ:「これが、ドイツ軍の戦車・・・」

ヴァルター:「元々は、チェコ製の戦車だったんだけどね。」

フョードラ:「ふ~ん・・・」

フョードラは、興味深げに38(t)戦車を観察した。

・・・と、その時!

警備兵:「誰だ!そこにいるのは!」

ヴァルター:「やべっ、警備兵だ、逃げろ!」

そう言ってフョードラの手を取り、二人は一目散に逃げ出した。
そして息も絶え絶えに元の河原まで戻ってくると、二人は思いっきり笑った。

フョードラ:「何だか息が上がった・・・」

ヴァルター:「ハハハハハッ!」

二人はいつまでも、笑い続けた。

ヴァルター:「いつかまた、会えるといいな・・・」

フョードラ:「そうだね、またいつか、会えるといいね。」

そう言うと、二人はお互い、固い握手を交わした。
二人の言葉通り、二人は数年後、再開を果たす事となる。
ただし、今度はお互い敵同士として・・・
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[ 2009/12/29 18:00 ] 自作戦記:東部戦線第1部 | TB(-) | CM(6)

【自作戦記】『東部戦線』第1部『ポーランド電撃戦』~ソヴィエト軍の参戦~

ヴァルター達ドイツ軍がブレスト・リトフスク要塞を攻略しているその頃・・・

9月17日5時40分、東ではソヴィエト軍がポーランドへの侵攻を開始した。
フョードラ・シュパーギナ伍長は20歳。
黒い髪に暗褐色の瞳が、どことなく東洋系を思わせる女性である。
フョードラは現在、BB-1偵察/爆撃機の後部機銃手として、最前線に偵察任務に出ている。
眼下には、西へと西進するBT-7などの戦車群や、GAZやZISなどの車輌群が、列を成している。
更にその先には・・・何も無い。
双眼鏡を眼から放すと、フョードラは機長のマヤコフスキー曹長に報告した。

フョードラ:「同志曹長殿!何も見当たりませんね?」

マヤコフスキー:「敵は全て、ブレスト・リトフスクで壊滅したかな?」

平時であれば、明らかにこちらは領空侵犯を犯している事になる。
ところが今は戦時。
にもかかわらず、対空砲火の一発も打ち上げて来ない。
抵抗らしい抵抗が何一つ無い・・・フョードラは何やら、ポーランドが気の毒に思えてきた。

マウアコフスキー:「フョードラ、もう10分程周って、帰還しよう。」

その時、フョードラが何かを発見した!

フョードラ:「待ってください!4時方向に航空機!」

マヤコフスキー:「何!?敵機か?」

フョードラ:「・・・いえ、双発に双垂直尾翼、ドイツ軍のBf110戦闘機の様です!」

すると、相手もこちらに気付いたのか、フョードラたちの乗るBB-1にぐんぐん近付き、Bf110はBB-1に横付けになって飛んだ。
お互いの白目が見える距離にまで近付くと、Bf110のパイロットは、マヤコフスキーに敬礼をした。
マヤコフスキーの方も答礼をすると、Bf110は左右の主翼を振って、グングンと速度を上げ、BB-1から離れて行った・・・

マヤコフスキー:「さて、フョードラ!基地に帰還するぞ!」

フョードラ:「了解!」

bb1.jpg
スホーイBB-1偵察/爆撃機

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ハルターマン:「遂に、ソヴィエト軍も参戦して来ましたね・・・」

ゴルニック:「組織的な抵抗無し・・・ポーランドの最期だな・・・」

そう言うとゴルニックは、Bf110の操縦席から、まるで死者を弔う様に、ポーランドの大地に心の中で黙祷をした。

ゴルニック:「そう言えばヨハン。さっきのソヴィエト軍機だが、後部機銃手は女だったな?」

ヨハン:「えぇ。ドイツでは女性軍人と言えば補助要員で、通信隊や衛生隊などで勤務してますがね。」

ゴルニック:「まさか最前線にまでは出さないだろうが、ソヴィエトでは女性までも軍用機に乗るのか・・・あまり感心はしないな。」

ヨハン:「敵はもう居ない様です。帰りましょう、小隊長殿。」

ゴルニック:「そうだな、帰ってビールでも酌み交わすか!」

こうして、ゴルニック達も、帰途の途に就いた。

bf110c4.jpg
メッサーシュミットBf110C-4駆逐機

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フョードル達が偵察飛行から帰還する頃、地上でもソヴィエト陸軍の戦車隊が西進していた。
オリガ・アファナシエワ少尉は24歳。
まだ士官学校を卒業したばかりの、新進気鋭の女性小隊長である。。
オリガの乗っているBT-7戦車はクリスティー式という独特の懸架装置を装備した快速戦車で、とても高速で走行できるのが特徴である。
上空でフョードラの達の乗るBB-1が翼を振ると、オリガ達も手を振った。

オリガ:「プラトノフ軍曹、どうやら敵は居ない様ね?」

オリガが拍子抜けした調子で、砲手のドミトリー・プラトノフ軍曹に言うと、プラトノフもまた、不思議そうに応える。

プラトノフ:「おかしいですね?」

そして、操縦手のアレクセイ・リャーシン軍曹も話に加わる。

リャーシン:「何か、不気味さすら感じますね?静かすぎる・・・」

プラトノフ:「敵はドイツ軍に全て、引き付けられたか?」

プラトノフ軍曹は27歳、リャーシン軍曹は26歳。
二人は故郷こそ違え同学年同士、軍隊の入隊も同期入隊である。

リャーシン:「まぁ、居なければ居ないに、越した事はありませんがね。用心だけは欠かさないようにします。」

こうしてオリガ達の戦車隊は、西進を続けた・・・

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BT-7(1937年型)戦車
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[ 2009/12/22 18:00 ] 自作戦記:東部戦線第1部 | TB(-) | CM(4)

【自作戦記】『東部戦線』第1部『ポーランド電撃戦』~ブレスト・リトフスク要塞(3)~

要塞近郊の都市を落したドイツ軍は、いよいよブレスト・リトフスク要塞の城門に迫った。
砲兵隊が塹壕を砲撃し、シュトゥーカはトーチカを急降下爆撃する。
戦車小隊長が、上げた手を前に振ると、戦車隊は前に進み出した。
小隊長が、無線で話してきた。

戦車小隊長:「今の砲撃や爆撃でも、恐らく敵は全滅しちゃいないだろう。気をつけろ!」

歩兵達が、匍匐前進をしながら前に進む。
その後に付いて、戦車は歩兵の支援をする。
爆撃でやられたのか、対戦車砲は撃ってこない。

シュペアリンク:「前方の機関銃座を撃つ!榴弾装填!」

ルドルファー:「了解!」

戦車砲が榴弾を発射すると、機関銃座は沈黙した。
その隙を縫って、歩兵が前進して行く。
城門から、数輌の戦車が現れた。
ポーランド軍の7TP戦車だ。
7TPは38(t)戦車と同じ37mm砲を搭載しており、38(t)戦車に対抗できる数少ないポーランド戦車のうちの一つである。
こういう状況になると、戦車にとっては周りの歩兵が邪魔だった。
歩兵を踏み潰してしまう為、縦横無尽に走り回れないからだ。

シュペアリンク:「ルドルファー、榴弾を抜け!徹甲弾だ!」

ルドルファーは閉鎖器から慎重に榴弾を抜き、砲弾ラックに戻すと、代わりに徹甲弾を装填した。

シュペアリンク:「ヴァルター、歩兵の前に出ろ!ルドルファー、準備はいいか!」

ルドルファー:「装填よし!」

シュペアリンク:「よし!」

ダンッ!

弾が敵戦車に当たり、ガクンと動きが止まった。
他の戦車も敵戦車を数輌仕留め、残りの戦車は城門の中へと逃げ帰っていった。
しかし、こちらの戦車も1、2輌程がやられていた。

それを期に、歩兵も小銃に銃剣を装着し、一斉に突撃を開始した。

塹壕の敵兵は次々に降伏し、歩兵達は城門の中へとなだれ込んでいった・・・

ポーランド軍は、この要塞を拠点にイギリス・フランス軍が参戦するまで長期戦に持ち込もうとしていた。
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[ 2009/12/15 18:00 ] 自作戦記:東部戦線第1部 | TB(-) | CM(2)

【自作戦記】『東部戦線』第1部『ポーランド電撃戦』~ブレスト・リトフスク要塞(2)~

戦車隊のみでの市街地攻略に失敗したドイツ軍は、今度は歩兵を主力として部隊を再編成し、再度、市街地攻略を試みた。
ヴァルター達戦車隊は、歩兵の支援に当たる。
敵もやはり、陣地を再構築していたようで、街に近づくと、土嚢を積んだ機関銃座から、機関銃を撃ってきた。
歩いていた歩兵はすかさず伏せて、ある隊は援護射撃をしながら、ある隊は匍匐前進をしてジリジリと陣地に近寄って行く。
戦車もまた、敵の機関銃座に射撃を加えた。
機関銃座を制圧すると、歩兵達は突撃をして街に入り、敵の対戦車砲に気をつけながら、歩兵を先頭にして前進した。
おそらく敵も、対戦車砲の位置を変えている事だろう・・・
ヴァルターの戦車も、街に入った。
十字路に気をつけながら前進すると、敵が機関銃を撃ってきた。
歩兵達はすかさず建物の陰に隠れると、歩兵小隊長が、すかさずシュペアリンクに、手で合図をした。
どうやら対戦車砲がいるらしい。

歩兵小隊長:「全員、射撃を機関銃座に集中しろ!何とか戦車を前進させる!」

敵の対戦車砲が発砲してきた。
爆発によって、2名程が建物の陰から転げ出て、倒れる。

歩兵小隊長:「1分隊、2分隊、少しずつ前進をする。3分隊、4分隊は援護射撃だ!」

歩兵が二手に分かれ24名程の分隊が、絶え間ない射撃を続けると、もう片方の24名はじわじわと前進を試みた。

歩兵小隊長:「おい、元ピッチャー!対戦車砲まで何mある?」

歩兵A:「約100m・・・てとこですか?」

歩兵小隊長:「何mまで近づけば、手榴弾を投げられる?」

歩兵A:「投げるだけだったら、50mもあれば投げられますがね。当てるとなると、最低でも30m以内には近づきませんと・・・」

歩兵小隊長:「あと70mか・・・3分隊、4分隊も前進しろ!1分隊、2分隊は援護射撃だ!」

「キュン!キュン!キュン!」と敵の機関銃弾が飛び交う中、第3分隊、第4分隊も前進してきた。

歩兵小隊長:「よし、クルーグルは何とかして30mまで近づき、対戦車砲に手榴弾を投げろ。当たらなくても、怯ませるだけでいい。小隊は全員でクルーグルを援護だ!」

小隊の全ての小火器が、敵の機関銃座を撃つ。
その隙を縫って建物の壁沿いに進むと、クルーグルは建物の横の階段を駆け上った。
そして3階に上がり、建物のベランダに出ると、クルーグルは手榴弾のピンを抜き、上から対戦車砲陣地へと放り込んだ。

「ドドーーーン!!!!!!」

手榴弾が炸裂すると、対戦車砲の砲兵達は、一瞬怯んだ。

歩兵小隊長:「よし、今だ!戦車、前へ!」

後方で援護射撃をしていた機関銃手にそう叫ぶと、機関銃手はシュペアリンクに、前進の合図を送った。

シュペアリンク:「よし!ヴァルター、今だ!」

ヴァルター:「了解!」

ヴァルターがミッションを入れると、戦車は交差点に入ってきた。
その間クルーグルが、援護にもう一発、手榴弾を投げ込む。

シュペアリンク:「ルドルファー、準備はいいか!」

ルドルファー:「装填よし!」

シュペアリンク:「よし!」

戦車砲から榴弾が放たれると、対戦車砲は見事に破壊された。

シュペアリンク:「ヴァルター、突っ込め!ヴェヒスラーは機関銃を撃ちまくれ!」

ヴェヒスラーが車載機関銃を撃ちながら戦車が突撃すると、対戦車砲陣地のポーランド兵達は、両手を挙げて降伏した。

歩兵小隊長:「よし!全員両手を挙げて、後ろを向いて壁に付け!」

おそらくは通じてはいないであろうが、ポーランド語を知らない小隊長は、ドイツ語でそう命じた。
すると、どこかで空軍の連絡将校が要請を出したのか、空から無数のサイレン音が近づいてきた。
けたたましいサイレン音と共に、シュトゥーカ(ユンカースJu87B急降下爆撃機)の飛行隊が、次々と駅に急降下爆撃を加えていった。
すると装甲列車は駅から出てきて、堪らなくなって逃げ出して行った。
他の部隊も次々と対戦車砲陣地を潰していき、こうして街は、完全に陥落した・・・
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[ 2009/12/08 18:00 ] 自作戦記:東部戦線第1部 | TB(-) | CM(6)

【自作戦記】『東部戦線』第1部『ポーランド電撃戦』~ブレスト・リトフスク要塞(1)~

9月13日夜、ドイツ軍の捜索隊が、早くもブレスト・リトフスク要塞にたどりついた。
それに続いて9月14日、ヴァルター達戦車隊は、いよいよポーランド軍の要塞、ブレスト・リトフスク要塞へと迫った。
砲兵隊が要塞郊外の市街地を砲撃し、市街地は煙に包まれていた。

小隊長:「最終弾落下10秒前!」

シュペアリンクのヘッドセットに、小隊長からの秒読みが伝えられる。

小隊長:「前進!」

砲兵隊の攻撃準備射撃が終わると、小隊長の上げた右腕が、振り降ろされた。

シュペアリンク:「前進!」

ヴァルターはミッションを入れ、戦車は前進を始めた。

小隊長:「各車、油断するなよ・・・まだ対戦車砲が生き残ってるかもしれないからな。」

シュペアリンク:「了解!」

突然、閃光が見えた。
敵の発火光だ!
市街地まで約500mまで近づいた所で、敵の対戦車砲が発砲してきた。
弾が他の中隊の車両に当たり、戦車1台がストップした。

シュペアリンク:「1時方向、対戦車砲、距離500、榴弾!」

敵の対戦車砲は集中砲火を浴び、沈黙した。
戦車が次々と、土嚢でできたバリケードを乗り越え、市街地へと入って行く。

シュペアリンク:「ヴァルター、あのバリケードを乗り越えられるか?」

ヴァルター:「大丈夫です!」

シュペアリンク:「よし!」

戦車隊は市街地へと入った。
しかし、街の中は行動が制限される為、陣形が展開できない・・・
戦車隊は、縦隊で道路を突き進む。

シュペアリンク:「まずいな・・・」

街角に差し掛かった所で突如、先頭を走る戦車が、エンジンから火を噴いた!
敵の対戦車砲だ!

シュペアリンク:「まずい、対戦車砲だ!ヴァルター、バックだ!」

しかし後方でも戦車が撃破され、前後の道を塞がれた戦車隊は、横の道を行くしか無かった。
まるで迷路の様な市街地を、戦車隊は迷いながら前進した。
突然、開けた場所に出た。
どうやら、駅前の広場らしい・・・
すると、いきなり前方の駅の方から、無数の対戦車砲が発砲してきた。

シュペアリンク:「しまった!装甲列車だ!」

戦車隊も負けずに応戦するが、次々とこちらの戦車が撃破されていく・・・

中隊長:「退却だ、退却!」

中隊長が、無線でそう叫んできた。

小隊長:「全車、退却だ!」

シュペアリンク:「了解!ヴァルター、退却だ!どんな道でもいい。とにかく街の外に出ろ!」

あちこちで撃破された戦車、積み上げられた乗用車などが、道を塞いでいる。
道路をジグザグと進みながら、ヴァルターの戦車は、ようやく街を抜け出した。
ヴァルター達の小隊は、貴重な338(t)軽戦車2両が撃破され、生き残ったのは小隊長車とシュペアリンク車だけだった・・・
中隊だと、被害は6両以上を数える・・・
今回の敗因は、歩兵の援護無しに戦車隊だけで街を攻略しようとした事にあった。
戦車も決して万能では無い。
元々戦車は、市街地での戦闘には向かないのだ・・・
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[ 2009/12/01 12:00 ] 自作戦記:東部戦線第1部 | TB(-) | CM(2)